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ソニーのカタログを見ても発売時期がよく分からないモデルです。ネットを色々渉猟すると75年頃の発売では無いかとの情報が有ります。ソニーのホームラジオで最も力の入ったICF-9580が78年ですが、このモデルの構成からもう少し前では無いかと思いますので75年というのは正しそうです。
可也力の入ったモデルでφ80mmのフェライト磁気回路の16cmスピーカー(定格10W)、ホームラジオでは類を見ない大きなヒートシンク、バス、トレブルに分かれた可変式トーンコントロールと、オーディオ的な凝り方です。
音もホームラジオのトップに君臨する9580には少し繊細さで負けますが、十分以上に良い音です。
欠点は２つ有り、一つがダイヤル機構。入手した個体を開けて分かりましたが、バリコンとダイヤルノブを連動させる糸にテンション機構が無いため、経年劣化で糸が伸びて空回りします。ネットではオーディオチューナー並みにフライホイールが入っているのでは無いかという評価もありましたが、残念ながらフライホイールは無く、テンション機構を白黒の異なる素材の糸の伸縮性に任せた設計だった様です。当初は良かったでしょうが割に早くテンションが無くなり、空回りばかりでチューニングが出来ない個体が出てきたものと思われます。この欠点の為に多分早いロットで発売を止めてしまったのでしょう、中古の数も少ないのはこのせいもありそうです。
この個体の修理もこの部分が大変でしたが、最終的には糸を普通の凧糸に替え、スプリングを付けてその伸縮でテンションを持たせる方法で空回りを解消しました(写真3)。
もう一つがダイヤルライトで、スイッチオンで常時点灯するしくみです。
が、当時の豆球にはそれだけの寿命が無く、長時間つけっぱなしのホームラジオでは割と早い時期にライトが断線したかと思われます。
ライトはLEDに交換する事も可能でしたがこの個体では試しておらず断線したままです。
別に暗闇で使う物では無いので今の状態で問題はなさそうです。
という訳で、非常に良いホームラジオで造りも良いのですが、高値では出せません。
良い音で古き良き時代に思いを馳せたい諸兄にお薦めします。デザインもスピーカーネットに多少の綻びがありますが結構風格があります。全体に相当なコストがかかった良いラジオです。

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